<子宮内膜受容能力検査とは>
子宮内膜受容能力検査(ERA)とは着床のタイミングが合っているかどうかをチェックする検査です。
体外受精の治療で良好胚を移植してもなかなか着床しない場合があります。
凍結融解胚盤胞を複数回移植しても 着床に至らないことを「反復着床障害」とされており
多くは胚の染色体異常が原因と考えられてきました。
また、女性側の原因として、子宮内膜増殖症、子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内癒着と
いった子宮因子や卵管水腫などの卵管因子、血栓傾向などの問題があげられていました。
それらを除外できた場合でも胚と子宮内膜の「着床のウィンドウ=着床しやすい時期」のずれかが
示唆されてきましたが、今まで具体的な確証は得られていませんでした。
2013年にスペインのグループにより「子宮内膜受容能力検査」についての論文が発表され、
子宮内膜組織の遺伝子検査を行うことで個々の症例の「着床のウィンドウ=着床しやすい時期」を
個別に確認することが可能になりつつあることが示されました。
ERAの検査では全体の25%の患者様が移植時に「非受容的(non-receptive)」状態ににあたり
胚移植実施予定の日に子宮内膜が受精卵を受け入れる状態にないということが判りました。
該当した場合は一番着床しやすい時期に移植を行うことにより「反復着床障害」を回避できる
ことが可能になります。
<検査方法>
融解胚盤胞移植実施の周期に使用するホルモン剤を用いて移植をする周期と
同じような方法で、着床しやすくする ために子宮内膜を厚くしていきます。
ホルモン剤を投与してから5日目に子宮内膜の組織を採取して検査します。
子宮内膜組織を採取するのには強い痛みがないため麻酔を使わずに行われます。
ERAを実施する周期は胚移植を することはできません。
1回目のERAで「非受容的(non-receptive)」だった場合はもう1度検査を実施し
ホルモン剤投与から3~4日目、または6~7日目に子宮内膜組織の採取を行い、
着床に最適なタイミングを調べることになります。
検査結果が出るまでに、2~3週間かかります。
<費用>
検査費用は医療機関によって異なりますがおおよそ15万円~25万円くらいのようです。
検査にかかる費用を考えると安易に受けられるものではありませんが、良好胚を移植し続けても
一向に着床しない 方は「もしかしたら…?」という可能性もありますので受けてみる
価値はあるのではないでしょうか。