不妊症と体の冷えの関係

今日も不妊治療の大きな課題である「女性の体の冷え」と鍼灸について少し補足的なお話をさせて頂きます。
女性にとって健康な体の条件の一つに、子宮の状態が良いことが挙げられます。
女性の体の不調は、本人の自覚に関係なく子宮機能の低下から来ている事が多いといえます。
子宮の究極の目的は元気な子供を産むことですから、常にベストの状態にしておくことは非常に大事な事です。
子宮やそれを取り囲む体が健康であれば生理は順調に来ます。
そういう意味では子宮の状態は女性の健康を示すバロメーターとも云えます。
しかし、現代では十代から三十代の女性で、数カ月も生理が来ない人は珍しくなく、体のリズムの崩れ、子宮の力が弱っている傾向にあります。

更年期とは、閉経年齢を挟んだ前後10年を指します。
日本女性の平均閉経年齢は五十一歳というデータがあり、だいたい更年期の時期は四十代半ばから五十代半ばまでとされています。
更年期になるとめまいやのぼせ、ほてり、動悸、異常な発汗、不整脈、耳鳴り、頭痛、極端な生理不順、不眠など…いわゆる更年期障害と呼ばれる症状に悩まされる人が増えます。

驚くことに最近では二十代、三十代といった若い女性が更年期障害と同じような症状を訴えるケースが増えています。これも女性の体のリズムが崩れたために起こる現象です。

体のどこが悪いのか、その原因がはっきりしないのにもかかわらず、本人は異常を感じてさまざまな症状を訴えることを「不定愁訴」といいます。
この不定愁訴の原因の一つに体の「冷え」があります。
体を冷やしがちな現代の生活環境が低体温を招き、子宮の低下につながっていると思われる症例がたくさんあります。
子宮は本来、絶対に冷やしたりしてはいけない臓器であり、体が低体温であると血液の循環が悪くなり子宮自体が冷え、機能低下を起こし、ホルモンバランスが乱れていきます。
赤ちゃんは暖かく居心地のいい子宮の中で育つものですから、冷えの改善は不妊治療にとって何よりも大切な問題です。

女性の体にとって冷えは大敵であるにかかわらず、現代女性のライフスタイルは常に体を冷やす方向に向いているようです。
季節を問わず短いスカートやローライズのジーンズ、素足でサンダルやミュールを履き、体を冷やす食べ物や飲み物を好んで摂ります。
夏でもいたる所で冷房が効いているので、常に冷たい空気が体を冷やしています。
このような生活環境が生理不順などの婦人科系疾患や不妊症につながる一因になっていることを自覚して生活を見直して下さい。

子宮がこうむる冷えによるストレスは赤ちゃんの問題だけでなく、女性自身の健康に大きな影響を与えます。
鍼灸により筋肉の凝りをほぐし、「気」「血」「津液」が滞りなく循環することで新陳代謝が上がり、冷えは解消されていきます。
鍼灸治療の目的は不妊治療して赤ちゃんを産むことだけではなく、その先にお母さんとして元気に育児・子育てができる体作りにあります。
当治療院では、不妊鍼灸のみならず、更年期鍼灸にも力を入れています。
「不定愁訴」で悩まれている方は是非一度、鍼灸治療をお試し下さい。