不妊症のタイプと症状「肝気鬱結」
東洋医学的にみた不妊症のタイプと症状の2回目は「肝気鬱結」という症状について
考えてみましょう。
人間の身体を一本の木に例えたとします。
この木が健やかに成長し大地に深く根をはり、葉を茂らせ実をつけると想像して下さい。
人間の身体にとって栄養や水分を与えてくれる大地は「脾」と「腎」に当たります。
新鮮な空気を体中に巡らせてくれる天空は「肺」になります。
そして身体を暖かく包み込む太陽は「心」です。
一人一人の身体の中にも小さな宇宙空間が存在し、小さな命を支えてくれているのです。
肝気鬱結とは、人の身体(肝木)が痩せた大地の上に立ち必死に成長しようと天空や
太陽に助けを求めている、いわばパニックになった状態と考えられます。
身体が潤ってこそ栄養が行き渡ってこそ実をつける事ができるのに、空回りしてしまい熱を
もってしまうのです。
この状態がストレスの元となり、更にストレスを呼び込んでしまいます。
「生きようとする意志」「実を結び子孫を残そうとする思い」は痩せ細りストレスに
さらされた身体(肝木)にはとても叶わず苦しい状態を悪循環させます。
現代社会に生きる女性にとってストレスは種類も量も昔とは大きく変わりました。
不妊治療に通われる女性の中にこの肝気鬱結の症により妊娠が難しくなっておられる方が
最近は多くいらっしゃいます。
クリニックで器質的な問題が判り治療している方も、原因が不透明な機能的な問題で治療を
続けられている方も今一度、ご自身の身体の状態がどの様であるかを見つめ直して頂きたい
と思います。
肝は全身の血を蔵するとも云われ、蔵するとは即ち全身の血を貯蔵しその巡りを調整すると
いう意味があります。
妊娠を望まれる女性にとって血が健やかであり全身によく巡り卵巣や子宮がいつも新鮮な血液で
満たされてこそ赤ちゃんが育つ環境が整うのです。
お母さんと赤ちゃんは一心同体ですから、お母さんの身体がバランスを崩した状態の中で
赤ちゃんが安心して育つことは難しいのです。
妊娠することだけがゴールではありません。
健やかに妊娠し優しく育み出産する為に、先ずはお母さんの身体が何よりも大事だという事を
改めて考えてほしいです。